雲去山嶺露。
雲が風にのって去ると雄大な山嶺が堂々と現れる。
覆い隠しているものがあったとしても、人の心の中にあるものはどっしりと、揺るぎない。
僕の好きな禅の言葉です。

今日はこの地に入植者が初めて足を踏み入れた日に当たるそうです。
僕らが横浜から移住してきて4年。この地で家族と過ごす日々をとても心地よく感じています。
世界中の方々が苦しみ、我慢を強いられる中、幸いにも愛息は入学式を迎えることができました。
全校生徒が100人ほどの中山間地の小さな小学校のお便りは毎日、保護者のもとに届けられます。

「当たり前のことに感謝」という言葉で始まった校長先生からのお便り。
アメリカの生物学者のライ麦の実験を例にとり、子供たちの見える部分、見えない部分についてお話されていました。
情報社会に生きる現代人の僕たちは見えない部分にもっと注意を払い、もっと丁寧に行動していく必要があると感じます。
これは全ての事に置き換えることができる様にも思います。
バンブーロッドビルディング、釣り、川や森、山や海で過ごす時間、生産、消費活動、生きていくうえで関わるもの、全てに言えるのではないでしょうか。
親としては複雑ですが、愛息が待ちに待った学校生活がスタートしています。
学校では感染症予防対策の徹底に務めてくれています。
もちろん、マスクを着用しての学校生活が当たり前になっています。
しかし、このマスク。 現代人の当たり前となった使い捨てマスク。
僕はどうしてもこの使い捨て文化を受け入れられません。
そして、この手軽さは、本当に必要とする多くの人を苦しめています。
この文化は継承すべきではないと想い、作りました。
子供と作る、布マスクです。

パタ―ン(型紙)は子供や縫製未経験者でも作れるように直線で構成しました。

pdfファイルはこちらより mask_for_kids
ここではハサミや待針、アイロン、ミシン(機械)等の使い方を間違えると怪我や火傷、火事の原因になりうる道具が出てきます。
道具を使う際に、お子様とその便利さと共に、その危険性を学びながら作っていただけましたら幸いです。
では作り方の前に縫製の練習です。

ハギレにボールペンで直線を引いて、その上をまっすぐ縫っていく練習です。
愛息はどんどん上手になっていくことがとっても嬉しそうでした。
そして、作り方。
家庭用ミシンの機能で作れるようになっていますが、ミシンをお持ちでない方は手縫いで大丈夫です。

素材は表をシャツに使うような薄くてシャキッと目の詰まった生地。
裏はもう着れなくなったパジャマ。丁度、リネンの2重ガーゼのものがあったので、それを使いました。

型紙をプリントアウトしてカット。
プリントアウトする環境のない方は寸法を記載していますので、手描きで型紙を作ってください。

型紙を生地にのせ、ボールペン等で、アウトラインを引く。
この時に予め、厚紙等に型紙を貼っておくと定規代わりになり、描きやすいです。

アウトラインを引いたら、生地をカット。
表生地、裏地、2枚同じサイズのものを用意してください。

表生地、裏地を用意したら、
生地裏が外に来るようにの表(柄)同士を合わせ、待針や安全ピンでズレないように仮止め。

合わせたら、四辺の上側と、下側縫います。
家庭用ミシンで縫うことを前提にしていますので、縫い代は8mmで型紙を作っています。

四辺の上側と、下側を縫い終えたら筒状になります。縫い代部分を割る(開く)ようにアイロンをかけ、筒の表裏をひっくり返し、筒の内側に縫い代がある状態に。
再び表からアイロンで押さえます。
*面倒ですが、”縫う前にアイロンで押さえる” がきれいに仕上げるコツです。

ここで2重布ができました。
型紙をもう一度、合わせて山折り、谷折りの印をつける。
ここで型紙を合わせたときに、上下の縫い代分小さくなっています。

山折り、谷折りの印に合わせて畳んでアイロンで押さえる。
一段一段、丁寧にかけることがきれいに仕上げるコツです。

山折り、谷折りと短冊状に畳んだ部分を仮止めします。 出来れば 2~5㎜際を縫ってください。 難しければ8㎜ほどで。後で、10㎜折り返しますので、それ以内であれば、折り合えした際に隠れます。

こんな具合です。
これは左右の縁を折るときに短冊状の箇所がズレないようにするためです。

このままですと生地の端からほつれてきますので、ほつれ止めをしなければなりません。
今回は家庭用ミシンのジグザグ縫いを駆使しました。
ミシンをお持ちでない方は縁取りテープやピンキングバサミなどを使うのも良いかもしれません。
当初、三つ折りに挑戦しましたが、生地の厚みが出て縫うのが難しかったです。

ほつれ止めの処理が出来ました。
あとは左右、10mmを折ってミシンで縫います。
*縫う前にアイロンで押さえることを忘れずに。
いよいよ、耳紐を取り付けます。
当初はかみさんのヘアゴムを使いましたが、ゴムのキックバックが強すぎて、息子には不快に感じた様です。
近隣の手芸コーナーでゴムを探しましたが、マスクに使えるゴムは全て品切れ状態でした。

伸び縮みする素材を家中探し、裁縫箱からこれを見つけました。
ニットテープです。
織物ではなくニット編みのなので伸び縮みしてくれます。
結果としてはソフトな肌触りでよい感じに仕上がりました。

耳紐の取り付けです。
取り付け位置や長さはお子様の 顔にフィットする様に合わせてあげてください。
我が家の愛息の場合は上下5㎜ほど内側、ニットテープの長さは160㎜ほどでした。
工房に流れるラジオから、感染予防の専門家の話が聞こえてきました。
一般の人が手に入れられるマスクは使い捨て、布、共に完全に感染予防できるものではありません。人に移さないという意味でも、しないよりした方が良いでしょう。との事でした。
少しでもという望みがある以上は出来る事をやって行こうと思います。